窓を開けずにらくらく換気できる!?
LIXILが取り入れた「プロダクトインクルージョン」の事例

Sponsored by LIXIL

プロダクトインクルージョンという言葉をご存じでしょうか。

プロダクトインクルージョン
建築・製品・ITなどあらゆるプロダクトのデザイン過程で多様な視点を取り入れていくこと

2021年9月22日に『Google流 ダイバーシティ&インクルージョン インクルーシブなプロダクト開発のための方法と実践』が刊行され、SNSでも話題になり、さまざまな記事にも取り上げられていました。

障害のある方へ平等な機会を提供している企業は他の企業に比べると売上が28%も高くなるという統計が出ているほど、インクルーシブな視点への重要性は高まっています。

一方で、このようなデータもあります。

インクルーシブな製品を提供している企業はわずか4%

実際に多様な視点を取り入れ、プロダクト開発を行う企業は世界を見ても事例が多いわけではありません。

そんな中、日本国内でも先進的にプロダクトインクルージョンを取り入れている企業としてLIXILをご紹介します。


窓やドア、トイレなどの生活製品を開発/提供するグローバル企業であるLIXILが、どのようにして多様な視点を取り入れたのか、貴重な事例として3回に分けて書いていきたいと思います。

本記事は、その1回目です。多様な視点を取り入れた方法、取り入れるに至った背景・想いをお伝えします。

LIXILの新商品「換気機能付窓」について

画像 換気機能付窓のイメージ

はじめに、本日2022年2月14日から販売開始した新商品「換気機能付窓」について簡単にご紹介します。

■ 窓を開けずに24時間換気が可能
■ 一般的な引違い窓の上に給気口、下に電動の排気ファンを取付け、1つの窓で給排気ができるリフォーム用の窓
■ ダブルファン搭載により、一般的な6畳の部屋の場合、通常運転で2.6回/時間の排気能力
■ 木造戸建住宅の居室にある腰高窓が対象

※詳細はこちら
※当製品で気になることがございましたら、こちらからお気軽にお問合せください。

「換気機能付窓」と障害のある方との関わり年表


〇2020年10月:障害がある方の窓へのニーズ調査(障害種別ごとで窓に対して求めることや必要度の確認)
※約250名の障害者へ定量調査(ミライロリサーチの活用)


〇2020年12月:開発段階での商品評価(障害がある方の生活における窓の存在意義と課題の確認)
※3名(肢体障害者:2名/視覚障害者:1名)の方へ定性調査(ミライロリサーチモニターより)


〇2021年06月:当製品の発信方法の検討ワーキング(当事者の視点を当製品の配信方法に活かす活動)
※5名(肢体障害者:3名/視覚障害者:2名)の方が参加(ミライロリサーチモニターより)(全5回)


〇2022年02月:当製品のリリース

リリースまでの調査によると障害のある方と窓の関わり方についてさまざまな課題の発見があったそうです。

「窓の内側に障害物があり、車いすにのっている状態から開け閉めしにくい。」
「目が見えないため、小さな鍵の操作ができない。」

上記のような声に対して、LIXILの担当者の方はこのように語っています。

窓とどのように関わられているのかを確認することが目的でしたが、そもそも関わることができていない方が数多くいらっしゃることが驚きでした。特にコロナ禍という環境もあり、部屋の換気を気にされている方が多くいらっしゃる中、窓の操作はヘルパーさんやご家族にお願いされていて、ご自身の意思通りにならないもどかしさをかかえられている現状を知り、少しでも多くの方に安心をご提供したいと感じました。

また、一方で当製品に対しては、24時間換気されており、1人で開閉する必要性がないことが便利だというプラスの声もあがっていました。


さらに、内部障害の方で、トイレや浴室以外で排便や排尿を行う方にとって、においがこもらないのでメリットが感じられるという意見もありました。

筆者自身の話もすると、テレワークが日常になり、ずっと家にいて、「空気がこもるな~、でも窓を開けると寒いな~」と思っていたので、とても利便性を感じました。

重要なのは「選択肢」を提供すること


上に挙げた声のように、1人で開閉する動作などを皆ができるとは限りません。


窓だけに限らず、利用する人の前提条件を同じと想定したプロダクトがまだまだ多いのが現状です。

今回LIXILは「窓」という製品でさまざまな方が使える選択肢のひとつを提供しました。


障害のある方を聴取したきっかけをLIXILの担当者はこのように振り返っています。

当時、パラリンピックに向けたニュースや記事に触れる中で、障害のある方は私たちが想定するように窓を使っていただけているのか疑問に感じたのがきっかけです。

LIXILは世界的な社会課題に貢献するため、
・グローバルな衛生課題の解決
・水の保全と環境保護
・多様性の尊重

を重点的に取り組むべき3つの分野として定めています。

世界人口のうち、15%の人は何らかの障害があり、かつ、その人口は年々増加している現状をふまえて、その「多様性の尊重」に基づいて何か価値のある商品を提供できないかと考えられたそうです。

また、2021年に改正障害者差別解消法が可決され、民間事業者の合理的配慮提供が法的義務になりました。

製品において、今後よりプロダクトインクルージョンの考え方が重要となってきます。

多様性溢れる昨今において、ある1つの商品を誰にとっても利用しやすいものにするのは難しいですが、例えば、「換気機能付窓」のように24時間換気できる窓や通常の手動操作の窓など製品を多様化していくことで、誰にとっても利用しやすい選択肢をつくることはできるかもしれません。

次回予告


LIXILは「換気機能付窓」についてどのようにお伝えするのがよいのか、障害のある方に対して計5回のワーキングを行いました。次回、ワーキングで明らかになった障害のある方ならではの視点について商品の詳細と合わせてお伝えします。

引用/参照

・2021年9月22日に刊行された書籍『Google流 ダイバーシティ&インクルージョン インクルーシブなプロダクト開発のための方法と実践』

プロダクトインクルージョンとは何かーダイバーシティの視点から得るヒントとチャンスー

グーグルが力を入れるPixelスマホの価値を変えた「プロダクトインクルージョン」とは?

米国障害者協会と米国ビジネスリーダーシップネットワークが140社の障害平等指数を調査した結果(2018年)

世界における障害者の数13億人。その大きな労働力、市場を活かすために必要なビジネスリーダーの条件

障害者差別解消法改正をわかりやすく解説。企業に求められる姿勢とは?