一人暮らしの車いすユーザーに伝えたい「軽・低・小」の住空間

一人暮らしを始めて6年になる車いすユーザーです。
インテリア関係の領域が好きで、
家具選びや配置に試行錯誤を繰り返してきました。
普通っぽい生活がしたいと夢見て、さまざまな家具を取り入れて背伸びをしたこともありましたが、
たくさんの失敗を重ね、自然と選ばれていった家具の共通点は

「軽い・低い・小さい」

の3つの要素でした。
そんなルールに基づいて選ばれた家具の一部を紹介したいと思います。

気づいたきっかけは地震の時に被害がなかったこと

2018年に大阪北部を中心とした大きな地震がありました。
自宅や職場も震度6弱を記録し、職場では高い場所の荷物が落ちるなど影響がありました。

しかし、自宅にはほとんど影響がありませんでした。
大きな揺れだった割には、起きた後も部屋の中は変わりがないことに驚きました。
その理由としては、

・120センチ以上の場所に物が置いていないこと
・倒れて影響があるような重い物が無い(置けない)こと

でした。
もちろん小物のインテリアは落ちたりしていましが、高さが低いため、無事です。
車いす目線で生活をしやすい家具が、自然と災害にも強い家になっていました。

そんな便利で安全な住空間を作るための「軽・低・小」を

「収納・テレビ・照明」

の3つの面からご紹介したいと思います。

収納を選ぶならダンボール

私の家では、服や本を収納する棚はダンボール製のものを用いています。

強度が高く見た目もきれいな、収納用の段ボールです。
最近では100円ショップでも見かけるようになりましたが
その便利なポイントは4つあります。

・軽いから持ち運びが楽
・落としたり・引きずっても床に傷がつかない
・引越しの荷造りが楽
・積み上げたり、引き出しにしたり、拡張性が高い

ダンボールは軽いです。動かしたりする時にとっても楽。
数値にしてみるとこんな感じです。

 木製シェルフの引き出し1つあたり→1,500グラム
 プラスチック製の収納→1,000グラム
 ダンボール製の収納→500グラム

プラスチックと比べてもペットボトル一本分の減量ができます。
この差でも身体の負担が大分軽減します。

しかも、素材は紙なのでひきずって移動したり、
無理な操作をしても床が傷つくこともありません。
そしてもう一つ便利なのは、引越しの時、荷造りが不要です。
そのまま引越し屋さんに預けて、必要な場所に置けばそれでOK。
毎日荷造りされている状態を作ることができます。

そしてこのようなダンボールボックスは、拡張性が高いです。
積み上げて使うこともできますが、引き出しにして使えるようにするオプションの箱もあります。
高さ半分の箱もあるので区切りを増やすこともできます。
これらの拡張性が高くておすすめなのは、フェローズのバンカーズボックス
著名なデザイナーもオフィスで用いていたりと、空間を素敵に演出してくれるので、おすすめです。

写真 クローゼットに入ったバンカーズボックス
写真 引き出しのように使っているバンカーズボックス

テレビはワイヤレスチューナーとタブレット

テレビはさまざまな情報を手に入れるための必需品。
しかし、テレビは重いです。地震などで倒れる危険もあります。
そんな私が選んだのは、ワイヤレスチューナーとタブレット
タブレットはどんな場所にでも持ち運んで置くことができます。

加えてこの2つをさらに便利にするのは、タブレットアームスタンドの存在です。

写真 タブレットアームスタンド

机に設置すれば、タブレットを宙に浮かせることができるので、
机の上を有効利用できたり、見やすい角度に調整することができます。
さらに、机の上だけでなく、ベッドやソファに設置しても便利です。
仰向けに寝た状態でもテレビを見やすい角度に設置することができるので、
体調が悪くても、体の負担なくテレビが楽しめます。

写真 タブレットを装着した様子

そんな便利なタブレットですが、それでも捨てがたいテレビの魅力は大画面であること。
テレビは単にテレビ番組を見るためだけのものではありません。
大画面で映画を見たり、ゲームをしたり、エンターテイメントには大きな画面が欠かせないこともあります。

そんな時におすすめなのはプロジェクターです。
画面の大きさは50〜100インチくらいに拡大できます。
しかし重さは5キロくらい。
テレビだったら 10〜20キロなのでこちらも半分以下です。
動作音が大きいことと、昼間は部屋を暗くしないと楽しめないなどのデメリットもありますが、とてもおすすめです。
最初のうちは軽くて動かしやすい物を選んでみてください。

LEDテープで空間を美しく演出

お部屋の照明に付加価値を与えるという点でおすすめしたいのがLEDテープです。

写真 光っていないLEDテープ
写真 光るLEDテープ

夜中に起き上がって照明を操作するのは結構大変ですよね。
リモコンを近くに置くよう心がけたり、
スモールライトをつけたままにするなどありますが、面倒な面もあります。
そんな場合でも程よい明るさを提供してくれます。
いくつものLEDが連結したテープですが、そのポイントは3つあります。

・低い電力消費
・場所を選ばず設置可能
・お洒落な空間


天井にある照明の豆電球をつけていたら、
仰向けに寝ているとどうしても視界に照明が入ってしまいます。
しかし、LEDテープを低い場所に配置すれば、足元専用の照明にすることができ、
夜間に移動する際には十分な明かりになりつつ、
ベッドの上に移動したらほとんど目に光が入らないため、気持ちよく寝ることができます。

そして、注目はその消費電力。
通常の豆電球の消費電力は、5Wですが、
LEDテープは小さい物でなんと0.5W。
10分の1なので電気をつけたまま寝ても電気代は気になりません。

さらに大きなメリットは、お部屋の演出性の向上です。
間接照明として利用することができるので、お部屋に柔らかな光を取り入れることができます。
瓶類の後ろに配置すると、おしゃれなお店のような雰囲気を演出することができます。
また、瓶の色に影響されて七色に輝きます。
もちろん、LEDテープ本来の電球色でも綺麗です。

写真 棚の後ろでほのかに光る様子

まとめ

今回は、収納・テレビ・照明をテーマに紹介しましたが、工夫できるポイントはたくさんあります。
毎日の小さな積み重ねにはなりますが、少しでも、軽くて、小さくて、低い家具を選ぶことで、
便利で快適な生活につながっていきます。
また、もしもの時にも安全な住空間になりますので、
是非良さそうなものがあれば取り入れてみてください。